平成16年2月20日 ハイウエイAGVネットワークの基礎的研究

【主旨】
1) 渋滞緩和と公害低減の観点から輸送効率の改善が大きな課題になっている。IT活用が云われ、情報ネットワーク、ITS、共同配送、輸送効率の検討が行なわれているが、根本的な解決にはなっていない。もっとドラスティクな提言を関西から発進出来ないかと考えていた時に、検証地下ハイウエーの新聞記事(2000.6.23 産経新聞)を見てから、15年程前に研究していたことが実現したので提案した。情報ネットワークの物流(荷物)ネットワーク版です。在庫レス、多頻度小口配送、24時間営業が進めば、道路の更なる渋滞が起こる。それを解消する為環境面を前面に出し、無人で荷物だけを搬送するネットワークの仕組みを研究する。
広い道路・鉄道上空利用(物量搬送専用道路)、大深度利用は参考程度、但し部分的に地下利用はありうる。
2) 大深度地下利用に関しては、バブル経済期(1984年頃〜1991年頃)に激しい地価高騰の為公共事業の為の用地買収が出来なくなってしまった。
(財)運輸経済研究センターが「大深度地下鉄道の整備に関する調査研究報告書」1988年(昭和63年)3月に公表してから一気に検討が始まった。
3) 1980年代始めに社内で線路上空有効利用の研究会を立ち上げ検討していた。国鉄〜JRの用地に建設する前提の為、成果を公表出来なかった。(新大阪駅、大阪駅)それで共同研究を呼びかけた。
4) 実現目標は30〜40年後であり(高速道路の建替え時期)、その時点の社会状況をイメージしながら基礎的な研究をする。


【概要】
ビジネスや研究にITを活用する色々な事業や提案が行われている。特にB to BやB to Cのネット商取引が急増している。ところが大きな問題点が欠落しているし、気づいていないと考えられる。取引先が全国や世界に拡がれば、利便性、物流合理化や効率を求め在庫レスが進めば、多頻度小口配送が中心になる。その為道路の更なる渋滞が考えられる。郊外の駐車スペースを活用し、乗用車から電車やバスへの乗り換えを誘導する「パーク&ライド」の物流版、及び道路の2階建てを提案する。
工場で作った商品やネット取引きした商品等を、上水管のごとく届けるシステムが必要です。道路・河川・線路上空に、あるいは道路・河川・鉄道・建物下の大深度に共同溝を作り、公道の有効利用を促進する。高速で無人の自動台車(AGV)で、環境に配慮した搬送ネットワークが必要です。 商品を24時間絶え間なく流し、市内に配送地点(デポ)を張り巡らし、そこから配達をする。
都心部に張り巡らした高速道路は、いわば道路の2階建てです。一般の幹線道路上空又は大深度地下に、物流専用搬送道路を作る道路の2階建てです。いわば情報ネットワークの荷物ネットワーク版です。
都市間はITSや鉄道で行い、高速道路の郊外のランプ、インターチェンジ上空又は地下、鉄道貨物ターミナルに、拠点となる発着到着ターミナルを建設します。そこから市内にAGVネットワークを張り巡らし、市内の配送地点(デポ)まで搬送します。デポからは燃料電池車や電気自動車等の無公害トラックで顧客に配達します。特に無人で荷物だけを搬送するネットワークの仕組みを研究する。この研究は渋滞解消と環境保護の面からかなりの成果がある。
実現に対しては、非常に難しい問題点が山積している。将来の望ましい都市機能のイメージ、さらに可能性に対する提言や研究を行う。


【背景】
トラック輸送は現在、鉄道、海運、航空を含めた国内物流全体の9割強(輸送トンベース)を占めるが、往路と違い復路の殆どが空荷という状態。一方で政府や自治体が渋滞緩和と公害低減の観点からディーゼル排ガス規制の強化を準備しており、環境保護の面からも輸送効率の改善が大きな課題となっている。
一方、東京都は浮遊粒子状物質を取り除く為の装置(DPF)を、装着しないディーゼル車について、都内での走行を条例で禁止する方針を表明した。一方関西ではDPF装着に向けて、京阪神6自治体が同一条例で、義務付けの方向で具体的検討に入った。更に、都心に入る車から、料金を徴収するロードプライシングや炭素税導入の提案も行われている。


【研究内容】
@文献・特許調査
A法規・法令調査
B環境・人口・資源エネルギー問題
Cトラック市内搬出入動態調査・将来予測 ――― 大阪市内又は近畿圏
D物量調査・将来予測 ――― 規模想定の為
E搬送台車方式 ――― コンテナ、カーゴ、容器、保冷コンテナ
F水平搬送方式 ――― モノレール、道路、軌道、コンベヤ、無人電気自動車、ケーブル
G垂直搬送方式 ――― エレベータ、リフター
H移載方式
I連結方式
J封印・開封方法
Kターミナル(郊外)の配置計画、建物計画
Lデポ(市内)の配置計画、建物計画
M市内道路鉄道上空の高さ、大深度調査 ――― 障害物調査(文献・報告書・書籍)
Nモーダルシフトの仕組み
O貨物追跡情報システム
P台車運行管理システム


(参考)
Q大阪市内又は近畿圏を想定し総事業費試算 ――― 建設費、運営費、メンテ費用
R運行シミュレーション解析

上記の内数項目を採用する。残りは現状調査し、将来予測でとどめる。


【研究体制・方針】
1) ワーキンググループを作り、共同で研究をする。
2) 文献や報告書を収集し分析・問題点を列記する。
3) 次回の検討項目は1ヶ月前に提示する。
4) 内容をベースに討論・アイデアを出す。
5) 2階建の道路を建設するのは駄目。2階建道路のシステムを研究する。
6) 実現目標は30〜40年後
7) 研究者の輪を広げる。
8) オープンで研究する。誰でも雑誌・論文に発表は可、但し、共同で研究をしていることを明記する。
9) 参加希望者は中途でも可、呼びかけをする。
10) 共通用語を統一する。


【研究期間】
1) 平成13年4月〜平成14年3月 (差し当たり1年間とする)
2) 月1回のペースで研究会を行う。 場所は原則として大林ビル8階会議室


【成果品】
1)研究報告書
3) PR用イメージ図

以上

日本物流学会関西部会